今回はオールドドメイン(中古ドメイン)と呼ばれる過去に別所有者が運用していたドメインを有効期限が切れたタイミングで取得し、他のサイトを新しく作り運用するというモデルについてご紹介します。
この手法はアフィリエイターが得意とする手法で、有効期限が切れたドメインを取得し、過去から貼り付けられている外部リンクのパワーを拝借して短期間でSEO上位表示を策略するものです。
最近では、まだ効果が出るものもありますが、以前よりだいぶ確率が悪くなり、上位表示しているサイトもペンギンアップデート等のアルゴリズム更新のタイミングとは関係なく、突如順位が下落するサイトも多数確認できています。
ねずみ小僧がウォッチしているキーワードの中で、最近下落したサイトを事例にご紹介してみたいと思います。
キーワードは「永久脱毛」です。
エステサロンや自宅で脱毛できる脱毛器具を紹介するといったアフィリエイトサイトが横行しているキーワードでもあります。
「永久脱毛」
Googleの検索結果の1ページ目をみると、Yahoo!知恵袋の「永久脱毛」タグページが8位、日本医学脱毛協会の永久脱毛ページが9位以外、すべてアフィリエイトとなっています。実は永久脱毛は医療機関でしか行うことができず、一般のエステサロンでは永久脱毛訴求を行っていないため、結果としてアフィリエイトサイトが上位を占有する形になっていると想定できます。
そんな中、今回下落してしまったサイトも2013年7月中旬まで1ページ目上位に表示されていました(7/20に1ページ目から3ページ目へ下落)。提供コンテンツは、永久脱毛の口コミランキング、部位ごとの脱毛紹介、エステと自宅の脱毛の紹介記事となっています。
下落した要因を探ってみることにしましょう。
まずドメインを見るといかにもオールドドメイン風のスペルになっているため、「The Wayback Machine」というツールで過去のキャッシュ状況をみてみました。下図のように2006年に最初にキャッシュされた情報を確認することができます。
実際にキャッシュを見てみると米国の音楽バンドの紹介ページが表示されました。2012年3月のキャッシュ情報を最後にそれ以降は永久脱毛のサイトに生まれ変わっています。ワンオーナーのオールドドメインということですね。
次に、「Open Site Explorer」で外部リンク情報を確認してみます。過去のリンクが2つ認識されているだけで新たなリンクは確認できませんでした。新たにリンク施策を行ったわけではなく、過去から貼られているリンクでクローラーを呼び込み内部施策で上位表示されたサイトと考えられます。
site:検索でGoogleにキャッシュされているページを見てみると20ページ強。永久脱毛を中心とした脱毛関連キーワードを含むコンテンツ群がキャッシュされています。TOPページのキャッシュ日は、2013年7月11日となっています(2013年7月27時点)。
確かにオールドドメインを利用しつつも、現在もなお競合度の高いキーワードで上位表示されているサイトは存在します。キャッシュポイントをアフィリエイトに置き、一時的にお金を稼ぐことができるかもしれません。しかし、Googleの使命は、ユーザーにとって有益な情報を検索結果として返すことにあり、このようなGoogleのバグ的な盲点を突いたテクニカルな手法はいつまでも続くことは決してありません。
また、永久脱毛という法律で定められた医療行為を行うことができないエステティックサロンをあたかも永久脱毛のサービスを提供しているとユーザーに錯覚させる記載のあるサイトはモラル的にも不適切であると思います。
事業会社のSEO担当者は自サイトのサイト価値をいかに高めていくかといったことを日々追求されているかと思いますので、このような情報はあまり目にすることはないかと思いますが、SEOという裏側ではこのような実態を知っておくのもよいかもしれません。