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コンテンツマーケティングとGoogleのシステムについての考察-両輪が重要

2013年09月09日 ネズミ1号:略称「T」
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インハウスSEOとして会社にコミットしなければならない時の一つのアプローチ方法

昨年一つのプロジェクトとしてオーガニック対策に関わった際に2号さんとともに練った戦略と、実際に6ヶ月ぐらいで圏外サイトをターゲットとするBIGワードで1ページまでもっていた際の戦術についてそのエッセンスを一部公開させていただきます。あくまでも一つの事例ですが、当サイトでの考え方がたまたまはまった一つのケーススタディとして参考となれば幸いです。メモ書きのような荒い原稿となりまして恐縮ですが、おそらく2号さんがきちんと整理して体系立てて、将来可能な範囲でディスクローズしていただけることを楽しみにしています。



案件の課題

・バックリンクペナルティによるBigQWでの順位が圏外へ、株価へ影響がでそうな事態に

・リード広告型のビジネスモデルを有する企業で当該セクターでの競合が激しく消耗戦にも近い環境下でのオーガニック下落

・QWについては、BIGでないと成果が取れない(ミドルテール狙いはROI上事業計画が練れない状態であった)

・期限は半年(主要株主からのオーダー)

フロー型のQWターゲット狙いでIMPを稼ぐ手法はNG、ストック型のQWを狙わざるを得ない。難易度が高いプロジェクトだったと記憶しています。

まず発想を変えることから着手

ターンオーバーするコンセプトで事業コンセプトやサービスの差別化、オンライン上での競合との差別化要素の洗い出しに時間を割くようにお話した。

時間が限られていたので、投資効率を優先し、過去の遺産にとらわれない戦略をとった。具体的には下記

・過去のホストは全部捨てる決断(サンクコストとして将来価値創造へ投資することに経営層にも納得いただいた)
※ホストはまったくのフレッシュホストでスタートする。

・競合分析、投資するコンテンツを見極めるために、ターゲットとするQW(KW)については、徹底的にROI算出した。

・オーガニックに関するKWのROI試算を過去のデータ及びGoogleキーワードアドバイスツールや共起語解析を駆使して約12,000程度にわたり試算表を出した。類似語群はグループ化し、可能性のある上位100語程度で戦略を立てた。(今回はロングテールではないためここまで絞りました。)

・ターゲットとするBIGワードに関するSERPsTOP20に関するオケージョンベースの各ランクインサイトのポジション分析をQualtyRaterが実際に行っているSyde by Sydeで見る視点、評価方法を活用しスコアリングし戦略キャンバスを作成した。
(RaterのデータはQWよりマッチする内容を引っ張る際のindexフレーズに生かされているという前提)

・戦略キャンバスに従い、理想的にどのポジションなら行けそうか、その事業会社の事業コア、足りないもので追加すべきUSP、削り改善すべき点を整理し、サービスコンセプトを定義し、競合他社サービスやサイト、ページとの差別化とともに、ユーザーが有するはずであるQW×インテンション(意図)についてのユースケース図とコンバージョンすることで得られるであろう収益試算表を作成した。

・難易度(競合度)、収益性の観点で、理想的になりうるSERPs上のポジションを主にQDDの観点から定義付けした。
(今回のプロジェクトはフレッシュネスはもちろんだが、フロー型情報ネタが少ない業態であったため見るからに茶番を演じるための投資は避けることにし、QDDの観点で、SERPs上有益となりうるバリエーションを想像し、確度が高いポジション・コンセプトをトライアルしながらストック型のコンテンツを増やしてゆく戦略をとった。ストックすることで、コンテンツ群がナレッジとなりホストポジションを当初見積もったポジションとして認知してもらう流れ)

・ROI観点、難易度観点より、一度は100語ぐらいまで絞ったが念のため、12,000語程度のQWに関し、どういうストーリーでポジションをあげて行くかシミュレート。そのコンセプトにあったサイトコンセプト、コンテンツの量産の方向性(UGC,外部ライター,外部オーソリのキャスティング等総合した集合知ポジション等)差別化戦略を立て、実際の調達の継続性とコストなどを加味し上記を仮説としてまとめ、ストーリ作りを行い事業計画を練った。

・リンク施策は、YDirやクロスレコメント等、上場企業としては、当たり前のように登録されているべきリンクのみ購入。PR3~4は最低限のドライバとして確保につとめた。

具体的にはなにをやったか?

当該セクターにおけるニーズ・ウォンツの洗い出し

洗い出したニーズ・ウォンツついて、算出したKW群とROI表をクロスして、規模、ボリュームに関して投資効果のよさそうなものからサイト発展シナリオを作成

サイト発展シナリオで定義したホストステータスの計測と次のアクションをリニューアルという形で繰り返すことでG社indexリフレッシュを3回程度、フェーズを区切って試みる

HITS理論にあまり頼らずイケルと実証するために、半年の間にサイトの構造を3回に分けて拡張した。(GoogleにリニューアルシグナルをWMT経由で送付)ホスト全クロール、形態素解析=>indexing、ホスト認知→結果→評価フェーズ、ポジション安定→仮説検証、次のポジション展開→コンテンツ追加、サイト構造、QW調整→ホストリニューアルシグナル(WMT)→indexingリフレッシュ)

とPDCA型サイクルではじめは難易度の低いミドル、からビッグへとKWポジション取りを実施。

重要なポイント

QWはなんでもかんでも取れればいいという発想はNG

ホスト自体のバリューをあげるので、最終的なサイトコンセプト=ターゲットするBIGによるSERPs上のどのポジションを定義し、それを構成するために必要なコンテンツ・情報量をコンテンツやWebサービス(飛び道具)に分解してポジションを取得していった。

コンテンツ製造・原稿執筆に関するポイント

・きれいごとではなく、タイトリング、本文含め、上記KW戦略に基づき、すべての原稿を形態素解析し、共起語含めバランスを見ながら、自然な原稿をへリライトして調達した。

・記事については、極力実名に近い形式にて集合知的なアプローチで差別化を図った。
(どこの誰が書いたか分からない内容を極力signature性にした。)

運用

本プロジェクトに最適なツールがなかったので、自ら開発した。

とはいいつつも、WMTをGoogle社のホスト認知度合い、Analyticsを実際のマーケット反応という観点で、両者のデータをCSVでDLし、MSAccess等でKW群のボラリティやOFFターゲット、ONターゲットがデイリーで追えるような簡単なもの。ただし、膨大なデータを扱わなければならなかったので、Accessを活用した。

社内に、エディトリアルチームを編成してもらい、オーガニック担当とマーケ、編集3社がデータを見ながら戦略的にサイトコンテンツを運用できる体制をつくった。

以上が、大体の内容です。

詳細はあまり公開できませんが、こんな感じの泥臭いことをやって、サイトを半年で3回順を追ってリニューアルし、WMTでsitemap.xmlを再送信してクローラーに再クロールしてもらい、G社のindexをショック療法で最適化してもらったという内容でした。

この案件は、SEO会社などは一切使わず、内部リソースですべてまかなうというプロジェクトでしたが、なんとか年度内に1ページ目にランクし現在は安定している感じです。

まとめ

この施策の特徴はリンクビルディングに関する主要な施策は一切投資しなかった点です。ポイントは下記2つ。

  1. PageRankはあくまでも相対的なホストポジションとして最低限のポジション取りのみ重視し、QDD・QDFといったアルゴリズムに作用する施策に投資した。
  2. 具体的には、キーワードについて絞られたテーマ・索引インデックスにおいて(フレーズベースindexing)、多様性、タイムリー性という観点で(今回は多様性という観点でどこを狙うかを重視)、PR5のサイトよりも上位表示もしくは、そのすぐ下へ表示されるような戦略と施策を実行した。

今回は表題を「コンテンツマーケティングとGoogleシステムについての考察」とさせていただきましたが、こうしたアプローチもオーガニック対策としてはありだと考えさせていただいております。

結論としては、単にコンテンツマーケティング視点だけでは、現在のGoogleシステムではBIG等での上位表示は難しいと考えた点です。ソーシャルマーケティングという視点、例えば、エンゲージメントやTWやFB上での拡散という点では役立つコンテンツ・話題性あるコンテツをRadionやSocialinsightを活用しながら投資する手法もありですが、これはあくまでもフロー型メディアとなってしまい、自転車操業になりがちです。ねずみ的に考えるコンテンツマーケティングとはGoogle社のシステムの理解と、アルゴリズムをどう活用してゆくかという視点に立って、QW=ユーザーニーズ(意図)としてどうマーケティング上解釈するか、それを効率的に運用するためのContentsManagemementSystemはどう導入すべきで、フロントエンド、サイト構造をどう設計すべきか、また更新性(indexリフレッシュとクロールフリクエンシー:頻度を頻繁にする)という観点でプロジェクトを計画・運用するということだと考えています。

これらのことを外注するのはなかなかできないとは思いますが、無いものや分析手法メソットは作る、分析データを更新し運用できるようにするといったメソットとして簡易化すればいろいろできるのかもしれません。
ただし、こうした荒療治は、経営者の理解がないとなかなかできるものではないとも痛感しています。

これは、あくまでも一つの事例かもしれませんし、たまたまヒットしたという事かもしれませんし、たまたまGoogleシステムが思惑通りに反応してくれたに過ぎないかもしれません。ただ一緒に汗を流してみると少なくとも私はやはりそうかなぁと実感させていいただきました。ただ、コミットして何とかしなきゃという案件をクライアントとして抱えるとなると数社が限度ですね。

よく昔、北米の広告代理店などのスキームでホストクライアントとしてコミットし成果報酬でと話題になったことがありましたが、SEOに関してもこうしたコンセプトがだんだんに当てはまるようになるのかもしれません。日本では電通や博報堂といった総合エージェンシーが、トヨタもやり日産もやりということをやっていましたが、本当にコンテンツマーケティングをコミットし、検索システムを分析した上でクライアントと心中する覚悟でプロジェクトをコミットするというのはなかなか難しい部分もビジネス上はあるように考えています。今後の方向としては、企業自身、経営層を含め技術的な理解、手法の理解をもつべきですし、その上でオンラインマーケティングをスムーズに実施できる組織・体制作りといった上流からのコンサルティングのようなアプローチが必要なのかもしれません。

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