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腐敗するゲストブログを活用したリンクビルディング。被害に会わないためのリスク管理体制が必要に!?

2014年02月02日 ネズミ1号:略称「T」
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MattCuttsBlogより:昨年よりゲストブログやArticleDirectory、コメントなどを活用したリンクビルディングについてマット・カッツ氏よるいくつもの言及がなされており、SEOコンサルタント企業などでは、さまざまな対処法や事例などについて考察がなされています。最近では、2014/01/20にマット・カッツ氏のブログ上にあらためてこの件について「The decay and fall of guest blogging for SEO」と題したタイトルで記載がされているようですので、当サイトではゲストブログについて、どのようなパターンやストラテジーが存在し、またどういうことがNGであるのか整理してみました。



ゲストブログの何がダメなのか?

つい最近1/21にもマット・カッツ氏は下記のようなTweetをしています。「堕落、腐敗するゲストブログ」と題するタイトルで、マット・カッツ氏に届いた勧誘メールについて警告している内容です。

TW-mattcutts-guestblog.png

gustblogingletter.png

マット・カッツ氏がブログ上で注目している点は、後半の太字の部分。この勧誘メールはあたかもユーザーにとって役立つコンテンツを書いてもらうために、その道のスペシャリストに協力を仰ぐような内容ですが、最後に見返りとして記事中にdofollowリンクの記載をお願いしています。記事執筆者については「あなたのブログやサイトを見る読者だけでなく、もっと多くの読者にあなたのコンテンツを見ていただくことで。。。」などと書かれており、一見すると善意のある全うな勧誘メールにように見えますが、太字の部分の言及から明らかに崇高なゲストブログという手法を活用したリンクビルディング目的の勧誘であると非難していると言えます。

こうした巧妙な手法で、一見著名な識者が執筆しているコンテンツであっても、実は裏でさまざまな腐敗が進行しているのではないかと懸念が表明されていると受け取っていいのではないかと推測できる内容だと思います。

当サイトにおいても、つい最近「著名ブロガーを買収してリンクビルディングしていた件が暴露される 」の記事で紹介しましたが、キズモードやライフハッカーなど有力なブログを抱えるGawkerの内部リークによりハフィイントンポストなどでも、非常に巧みな手法で謝礼によるリンク買収行為が行われている実態が暴露されています。この手法は、直接執筆者に内密にアプローチするためサイトのオーナーも知りえない手法として反響を呼んだのも記憶に新しい限りです。

ゲストブログは全部だめ?コンテンツ上のリンクはすべてnofollowとすべきか?

近年コンテンツマーケティングという名のもと、さまざまなストラテジーや手法を各社発明、検討、実証していることと思われますが、ゲストブログと定義されているものの中には、さまざまな要素が含蓄されているように考えています。ですから一概にゲストブログといってもさまざまな構図があると想定した方がよさそうです。
マット・カッツ氏が警告する直接執筆者にアプローチする手法などを考えますと、サイト運営者・オーナーとしては危機管理の一環としてゲストブログやコンテンツマーケティングにおいてどういった体系でチェック体制を整えるべきであるか、このタイミングで整理した方いいと言えます。

当サイトでは、以下のように整理してみました。

20140202guestbloging.png

(一般論)
コンテンツマーケティングという観点からコンテンツを調達するケース

通常ゲストブログといういうと、運営主体者もしくはSEO業者がイメージする「執筆者にお願いしてコンテンツを執筆してもらう」ケースを誰もが想像するのではないでしょうか?
このケースには、上図のとおり、自身のサイトをハブサイトしてPageRankを確立し、リンクを誘導するような「運営サイト=(ハブサイト)」ケースと運営サイトの順位を上げるべく直接、著者に自社サイト上でコンテンツを執筆してもらい、その著者が権威ある著者であることを証明するために著書サイトからリンクをもらう「運営サイト=(オーソリサイト)」ケースの2つ。
ハブサイトのケースでは、記事本文中のリンクをクライアントサイトへ自然な引用としてリンクを流すイメージです。これとは別にオーソリサイトの場合は、rel=authorや執筆者のプロファイルとしてリンクをもらうようなケースです。
リンクジュースに関する本質をここでおさらいすると「リンクによるサイトの投票」という観点が、PageRankを構成する根本ということになります。これに即して図中のリンクパターン①から③について整理してみます。

①のケース:
クライアントサイトにアンカー等でリンクを張る

こちらは、記事本文中に張られる外部リンクとなりますが、不自然なアンカーリンクを多用したものはNGだと考えています。マット・カッツ氏もだいたい500文字ぐらいの内容のない短文コンテンツ上に3つも4つもアンカーリッチなリンクがあるとおかしいと言っています。

②のケース:
著書サイトへプロファイルとしてゲストブログ執筆サイトよりリンクを張る

こちらについては、ケースによりnofollowとすべきかもしれません。記事を執筆してもらう行為はリンクジュースを交換する行為ではなく純粋に運営サイトのテーマや論点に賛同していただき、外部の著書に議論や多角的な観点でナレッジを共有してもらうものだからです。よってrel=authorのみを活用すべきです。
なぜならば、不自然なリンク、例えば、記事を書いていただいた方に、PR5のトラフィックが膨大なサイトからリンクを張るという事では、裏でなんらかの腐敗したバーター取引ななされていると推測されるリスク発生する可能性があるからです。
ただ、一般的な慣習として著書の善意に対し執筆者のサイトを紹介するという点では必ずしもnofollowとしなくともいいと考えています。ただし、こうしたリンク構造が膨大となると(どうでもいいその他多数のブロガーから内容の無い記事を調達していると推測できる規模場合)、計画的な確信犯として疑われるリスクあると言えます。

③のケース:
著書のブログやサイトからゲストブログサイトもしくは執筆ゲストブログへリンクを張る

こちらも②と同じ考え方です。著書がさまざまなサイトからお金やリンクをもらう見返りとして自身が今まで構築してきた努力の結晶であるサイトやブログをマネタイズする手段として安易な記事を乱発しているような事になっている場合、よかれと思って書いてもらったゲストブログがマイナス効果となることも十分ありえるということです。
素性がわからない方にお願いする場合や、あまりにも著名な方で、その人のブログや記事がどのように書かれていて、リンクをもらっているか等分析したりするノウハウや時間がかけらないようであれば、nofollowを付けてもらった方が危機管理とう観点では得るものが多いはずです。

(危機管理)
悪意あるゲストブログリンクブローカーよりサイトを守るケース

こちらについては、特に①から③すべてに当てはまります。特に③で説明したように、ゲストブログを依頼する人の過去に書いた記事の内容(外部リンクの張り方等)、どれだけ多様なサイトに記事を執筆しているか、あまりにも多くの著名サイトに記事を執筆していないか(ブローカーに陰で買収されている可能性がある)等、綿密な分析やチェックをすることが必要です。要するに、政治家の選挙と同じで、この人をたたいてほこりがでないか、身体検査をするようなイメージですね。

コンテンツマーケティングという名の元、著名人を活用した安易なゲストブログ企画はリスクマネジメントができない運営者はやるべきでない?

この話は一般論でいうと当り前の話であると言えます。例えば、企業がTVコマーシャルに某タレントを活用するケースを想定してみてください。代理店からキャスティング提案された際、そのタレントの身辺調査、過去の週刊誌の情報などあらゆるリスクを検討することは業界では常識です。Webのみに携わってきた人には、こうした著名人のキャスティングや超大型案件などでのナショナルキャンペーン等、コンプライアンス(法令順守)、リスク管理等はそこまで重視されてきていなかったもしれませんが、もはやWebについてもこうしたリスク管理体制が必須であるということ認識した方がいいのかもしれません。なぜならば、情報漏えいと同じく、サイトがペナルティを受ける、ゲスト執筆者が不祥事をはらくことで、あなたのサイトブランドや企業ブランドが傷つくばかりでなく、SERPs上で村八分にされた事実が取引先、一般顧客を失うことにもつながり、企業の存続を危うくすることもありうるからです。

今やプロダクトブランドサイト、企業サイト、サービスサイト運営者は、単なるWebサイト構築ノウハウがあるだけでは不十分でさまざまなコミュニケーション手段からパブリックリレーション、キャスティングノウハウ、PEST関連からの法令、トレンド、ソーシャル上での世論などをもモニタリングし分析できるノウハウが結集した運用体制が必要になりつつあると言えるのではないでしょうか。

当サイトでは、マット・カッツ氏の言及や、海外SEO企業などによるさまざまな事象に関する事柄などを紹介していますが、こうした情報を分析(インテリジェンス)し、サイト運営における危機管理への反映や本質的なリスクの洗い出しなど行うことが、これからSEOという分野において重要な要素となってくると考えています。限られた予算、人材リソースとなると当然外部へ委託し分析することも想定されますが、少なくとも自社にこうした分析情報などを正しく理解できるナレッジはあった方がいいとは思います。

外部情報の分析とリスクの把握、そして投資により得られるであろうゲインについて適切な把握ができなければなかなか前に進むことができないからです。

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