本日、たまたま某恵比寿の会社に勤めている友人と飲む機会があり、最近のSERPs風景の話になりましたが、トランザクショナルQWでのSERPsに異変が起きているようです。ハミングバードがロールアウトされてから、もうすぐ半年弱以上、Google+による行動データなども大分蓄積されてきた事だと思われます。NYTimesの記事にもありますがGoogleはPlusデータを活用し、より精度の高いADレレバンシーやSERPsレレバンシー精度を上げてきているようです。QW intentionのAI的な解釈が可能となり、特にInformationalな意図のQWについては、構造化されたWebサイトをTitle/Snippetから、よりナレッジグラフライクなUIで利用者の問い合わせに適切に答えようとしているように思えます。
ここ最近のAI企業の買収などを見ていても収集データを基によりインテリジェントな受け答えをしようと考えているのかもしれません。GooglePlus は対話型検索におけるレレバンシーを予測するためのパターンモデルを形作るためのデータ収集の要なのではと勝手に想像していますが、I/Oカンファレンス終了後のお盆休み前あたりにまたなにか面白い発表などがあるのかもしれませんね。
海外ではリードマーケティングといって展示会などで集めた名刺やキャンペーンアンケートで集めた名簿を潜在客名簿として営業コンバージョンするという手法が洗練されてきました。SEOやSEMについては、こうした事業者が検索意図というAIDMAの法則でいうところの「Demand=>Action」を捉えるパイプライン上で一番効率のよいリード(LEAD)が獲得できるという点で、それまでマス媒体やコンベンションに投じてきた膨大なコストをリスティングなどのSEMコストとして予算をシフトしてきたとも言えます。
よくSEOの記事を見ると、順位を上げてもCVさせることは難しいという論調がありますが、こうした論調は、QW意図を解釈した上でまた、SERPsの多様性アルゴリズムなどのポジション争いなども綿密に計算し、
を仕訳した上でビジネスを考えるという視点が抜けているのかもしれません。またこれを手作業でやるというのはちょと現実的には無理だと思われます。
近年では、Criteo社や国内企業でも第三者CookieをDSPやSSPに活用できるデータ卸売業者の活動が活発なように思いますが、日本では、個人情報保護法の問題などがありなかなか普及が難しいようです。Yahoo!JapanなどはCriteo社と裏で連携し、第三社配信をすることも以前検討していたようです。
2つの性格のトラフィックとは、「すぐにお金に換金できるもの」と「しばらく時間がかかるもの」だと想定させていただきましたが、今までのSEOは「すぐにお金にできるもの」=トランザクショナルなクエリワードを主体に施策が練られてきたと思います。
これからのSEOはコンテンツだという風潮も大分浸透してきましたが、エグジット(換金モデル)の議論がないままに、投資と時間のかかる施策を継続することは上場企業ではなかなか容認しにくいのではないでしょうか?
知人の話を伺うと、この領域は、Listingと直接サービスを提供するサプライヤーサイトといったサービス主体社が優位になっている傾向がありそうです。
今は2月なのでリード型のビジネスとしては、インターネットプロバイダーや賃貸不動産系や引越し業者などがトラフィックのかき入れ時だと推測しますが、例えば「引越し」「引越し 単身」と調べてみると以下のようになりました。
「引越し」のSERPs 「引越し 単身」のSERPs
引越し業界では「引越し」というQWはビッグワードと捉えられていると想定しますが、検索結果をみるとInformationalQWに対応した結果がなく、どちらかというとTransactionalクエリで占有されています。
1位アート引越しセンター、2位サカイ引越センター、3位ヤマトホームコンビニエンス
この企業を分析すると、ファミリー向け・単身総合・首都圏強い、単身が必要な荷物だけ宅配で、という「デモグラ要素、エリア要素(IPによる問い合わせサーバー)、用途」といった明確な種別でリストアップされていることが分かります。一方で「単身」というワードが一つ付くと、Informationalクエリーとしての解釈がマジョリティ解釈となり、HowTo系のコンテンツやサイトが上位にきています。以前はBIG・準BIGに該当するこの位置は価格コムが占有していたと思いますが、Googleの検索の目指すところはAI的にQWを解釈し、最適な業者サイトをサジェストする方向で発展していると言えそうです。
今後価格コムのようなサイトはコンバージョンがとりにくい限りなくInformatinalなニーズトラフィックを捉えながらエグジットする手法を見出さなければならないのかもしれません。
Informationalクエリーというのはその性格上、アクションへ移行するまで一定のナーチャリング期間が必要となると想定できます。当然CRMと同じように時間がかかる=コストとなりますから、この課題を解決する必要性が発生します。
そういう意味では、例えばミドル、ロングテールワードから、AIDMAでいうところのInterestステータスのユーザーデータをナーチャリングトリガーデータとしてビジネスに生かすようなモデルを確立するという事も考えられるでしょう。俗にいうリマーケティングなどがGoogle社のそれにあたりますが、DSPなどで、初期にブロードにトラッキングビーコンを仕込みコンバージョンへ持って行くようなモデルがより効率的に展開できるようでしたら、こうしたAdtechカンパニーとつるんでどういったInformationalなステータスユーザー、状態メトリックスがStatusA・B・C、かくかくしかじかのインテンションセグメントでかつStatusAなので初期トラッキングビーコン配信単価○○円、このセグメントはDSP最適化3か月かかるところが1か月でみたいなモデルが検討できるといいかもしれません。ただ注意が必要なのは潤沢なブロードリーチコスト払えるような企業は、ある程度高単価商材を扱っている事業会社であり、不動産や医療、保険などといった分野に限られるかもしれません。その他低単価な商材系やローカルな企業などは、Google社のロングテールモデルのターゲットゾーンとなるのかもしれません。そういう点でいうと、今後SEO,SEMについては、こうしたすそ野に位置する課題を抱える中小企業群に低コストで課題を解決できるようなサービスやコンサルテーションを提供するか、または、すそ野の企業経営者、Web・マーケティング担当のリテラシーが底上げされるかの何れにかになるのかもしれません。
先日のマット・カッツビデオで、広告とオーガニックの独立性についてのお話がありましたが、Chromeで表示したSERPsでは上数行が広告とは一般の人は気づかないのではないかと考えています。「引越し 単身」というキーワードでは、現在価格コムの単身パックがおそらく相当な高単価で出稿しているのではと思われますが、SERPs村八分にされる暗黒の時代を事業会社、メディア事業者が相互にローテーションしているという見方もできます。
企業の事業リスクをマネージするという点では、この単純なリードビジネスモデルから、ミドル、ロングテールをお金に換金できるビッグデータとしてリードナーチャリングにおける基礎データを販売するようなモデルなど新たなエグジットを備えたスキームで袋小路から脱却できるか?が今後こうしたセクターの事業会社の課題かもしれません。更にいうと、単価の低い商材でも利益が出るようなコンピューティングスキームが実装できるかもカギとなるでしょう。ただし、この領域は、Google社の独壇場でもあります。
InformationalセクターのQWについては、今後Schema.orgなどデータの構造化がKSFとなると考えていますが、豊富なデータベースを有する価格コムの技術陣が構造化対応をしたたかに水面下で検討しつつ、ビッグデータによるマネタイズモデルを検討しているのか、今後の行く末に留意してみたいと思います。
(「ローマは一日してならず。」「ある日突然ヒーローになれる訳ではない」とは良く言ったもので、水面下での地道な研究と仮説をもとにイノベーション発掘を継続することが必要と言えるのかもしれません。)
GoogleがGoogle+でレレバンシー確立ための行動ログデータを取得し、それを生かすテクノロジーにおいてイノベーションを起こそうとしているとしたら、価格コムのような企業が例えば、TwitterやFacebookなどと提携し、SocialGraphデータと閲覧データなどをクロスしたビッグデータとしてTwitterAD、FacebookADに反映できたとしたらちょっと面白いかもしれません。