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ペイドリンクの判別基準。実は奥が深いんです!:マット・カッツ

2014年03月06日 ネズミ1号:略称「T」
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film.pngみなさんこんにちは、今日は「ペイドリンク」についてちょっと小話をしたいと思います。具体的には、「ペイドリンクに関するグーグルのスパムチームの基準」についてです。
matt:
いまさらという感もあるかもしれませんが、殆どのケースではその定義は明白です。ページランクの仕組みを悪用しようと、あからさまにお金を払い、リンクを付けて高順位を狙おうとする事です。はい、では例をご紹介しましょう。これは私が実際に受信したスパムメールの内容です。

((ここからメールの内容))
こんにちは、実は我々は、リンクを販売できるきれいな汚れていないハイクオリティーなサイトを数個もっています。ユニークなコンテンツを運営していて、ドメインは当然過去の略歴のある中古ドメインではないですし、おかしなPRもしていません。

はい、99.9%がこう いった感じの売ったり・買ったりする感じのものだというのは明らかですね。



でもこう人もいるでしょう。「わかったマット!じゃぁお金を払わなければいいんだね。たとえば、ビールやピザをおごってあげて、たまたまその彼が私のサイトについて記事を書いて(リンクを張って)くれた場合はどうなんだ い?」というケースですね。こういうケースなどについて僕たちがどう評価するか?ということですが、「このリンクはペイドリンクかそうじゃないか」という微妙な線引き(クライテリア)については、我々は常に考えていますし、これは言ってみれば、ウェブスパムガイドラインの基準と同じ考え方で「人為的な操作で欺こうとする行為は、僕らがスパムサイトとしてアクションを起こすに値する」という趣旨とまったく同義の基準なんです。
つまり、人を欺くような意図が明確な、新らたなテクニックを発見したら、僕らはアクションをとるということなんですね。

「何がダメで何がセーフなのか?」その考え方とは?

matt:はい、ではどう考えればいいかということになりますが、物事の道理という視点で見てみましょう。
例えば、FTC(米国でいう公取みたいな機関)などでは、マテリアル・コネクション(例えばなんらかの便宜を受けとったなど)とはどういうことを指すのか明確に定義されていますね。ここでは、FTCガイドラインの具体的な内容には触れませんが、ぜひそのガイドライン一度チェックしてみることをおすすめします。他の国の独立行政機関や政府機関が出している類似のガイドラインもそうですが、ペイドリンクを評価するコンセプトはこのガイドラインのエッセンスを彷彿とさせるものだと言えるからです。

ポイント1:貰って人の行動を変えるぐらい価値のあるものか?

はい、では考えてみましょう。あなたにとってもらってうれしいものとは何でしょう?例えば、グーグルがカンファレスを開いて、 そこで1ドル位の価値のペンを配ったとしてもそれだけで、あなたの行動を変えるような価値はありませんよね。質の悪い無料Tシャツなんかをそこでもらってもこれまた同じだと思います。

では、600ドル払うのでコンテンツを書いて(リンクを張ってください)というのはどうでしょう?600ドルはやってもいいかなぁ?と十分思える価値があると言えませんか?

1ドルのペンから無料Tシャツ、それからもっと価値のあるものまでスペクトラムとして見ると、どこがヤバい!?という見極めが重要となるのです。

ポイント2:現金ではないが、かぎりなく現金の価値のあるものだったりするもの

この他の考え方として、お金にどれぐらい近いものであるかということも挙げられます。たとえばギフトカード。ギフトカードは現金への換金性が極めて高いものですね。このほかには、高級香水のお試しとか、ビールをおごるとか考えらますが、これはお金の価値としてはそんなに近しいものではないかもしれません。要は賄賂としての価値としてみなすことができるか否かという点が重要なんです。夕食をおごったり、または招待したりして、数か月後に「まったくしょぼいステーキでした!」とか「たった18ドルのコースだったよ!」とかブログに書く分には僕らは問題にすることはありません。

はい、そのほかの例をさらにあげましょう。

ポイント3:「貸与するというケース」と「贈与するというケース」の違い

例えば、車をトライアウト用に1週間貸し出すケースと車をもらえるケースとでは全くニュアンスが変わってきますね。車を借りてその車を評価を自由にブログに書くのと、カメラなどを送り付けて、そのままあなたにあげますと言われてブログを書くのとでは全くニュアンスが変わりると思います。前者はレビュー記事を書いてもらうという点では公平でレスペクトできる手法ですが、後者はちょっとおかしいですよね。(一眼レフカメラなんか)が送られてきて、「ぜひ使ってください。戻さなくてもいいですよ」という場合は明らかにマテリアル・コネクション(賄賂・贈答物)といえるのでは?というのが僕らの見解です。

次は、意図していたか?という観点です。意図的かどうかの判断はわかりやすくいうと「お金を上げるからリンクをはってね」ということなのですが、ここで一つ例をあげてみましょう。

ポイント4:贈り物をする側の意図の違い

はい、ではセールスフォームの無料トライアルイベントに参加したとします。そのイベントはセールスフォースの6か月無料トライアルに申し込むためのイベント です。このケースの意図はなんでしょう?そうですね。このケースは、実際に無料で使ってもらって営業的な評判や、6か月後に有償サブスクリプションにコンバージョンさせたいというリードマーケティングな意図だということが分かります。

では、次のケース。例えば、我々もグーグルI/Oなどでよくやってたりするのですが、ネクサス7などを会場の来訪者に配ったりしますね。ではこの意図はなんでしょうか?我々の意図としては、世の中の誰も持っていないプロダクトを来訪者に渡し、実際に使ってもらって感想を聞いたり、公平な立場でレビューしてもらうことがそれなんです。

よく記者さんなんかで、ラップトップパソコンなんかをもらえればお宅のいい記事をかかせたもらいますよ!とか素晴らしいモニターがあるのならぜひください! いい記事書きますよというのは微妙な感じですが、もしそうしたことが行われているのであれば、記事上でもらったんですとかきちんとディスクローズ(開示)すべきですね。

一般的に驚くようなことかどうか?という基準でみてみてください。そうすると分かり易いと思います。

例えば、映画評論家の方が、無料で試写に招待されたり、映画館で無料で観てもらっていいですよという行為は一般的で何も驚くようなことではないですよね。 しかし、一方で、テックブログなどのレポーターで私にノートパソコンをくださいな!もちろんそれ返さなくてもいいですよねぇ!そうしたら貴方のスタートアップのことを書きますよ!というのはどうでしょう?これはちょっと常軌を逸していますし、ディスクローズされるべきです。

では、買収行為についての基準をまとめると..(要約)

1.お金に近しいものか?人の行動を左右する価値があるものか?

2.「貸与する」と「贈与する」の違い

3.それは、贈答物かそれともトライアウトするために一時的にレンタルしているものか?

4.贈り手意図するものは何か?トライアウトして使ってもらいたいのか、一種のスポンサードの価値で記事を書いてもらいたいのか?

だいたい4つの基準に集約されますね。

最後に迷ったら、「その行為が一般常識を逸しているか否か?」という観点で見てみるといろいろと見えてくると思います。

ネズミ小僧:リ ンクについては、記事による投票だと認識していますが、何がペイドリンクなのか?という評価基準というのは時流によってさまざまな手法が存在しうるということなのですね。そうしたときに参考になるのが、米国では、FTCなどのマテリアル・コネクションに関するガイドラインということなのですね。

日本でいうと、贈賄や賄賂に関する企業のコンプライアンスに関連する法律や公正取引委員会の談合とか便宜供与などがあたるのでしょうが、そうした事例を告発やたまたまマットさんやスパムチームの網の目に届く勧誘メールなど含め日々満ちているし、そのテクニックをひも解いているという事なのですね。

近年においては、アンカーテキストが多いとか、セマンティックに内容が合致しないホストやコンテンツからのリンクだとかテクニカルな要素だけでなく、こうした観点からもサンプリングチェックを行いながら、モデリングし、アルゴリズムに組み込んでいるということなのでのかもしれません。「グーグルのサーチスパムチームでウェブスパムと格闘する1日とはどのようなものでしょうか?」のビデオであえて、スパムチームの一日について」でも紹介しましたが、FTCなどのガイドラインと照らし合わせて、ケースサンプリングを行い日々アルゴリズムの微細な改善も行われているのだぁと想像させていただきました。

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