GoogleにはQDFというアルゴリズムが導入されていることはマット・カッツ氏も明言していますし、これまで検索エンジンを日々利用していれば気付くことも多いことでしょう。
ただタイムリーにQDF事例を紹介しているページが見当たらなかったところ、ちょうど良い事例がありましたので、ねずみ小僧流に分かりやすくご紹介できればと思います。
対象となるクエリワードは「横断幕」です。
QDF(Query Deserves Freshness)とはGoogleが導入しているアルゴリズムのひとつで、PEST観点において最新の情報をSERPS上に優先的に表示するというものです。上位概念としてQDD(Query Deserves Diversity)というユーザーのニーズに合わせた検索結果の多様性という要素がありますので、いくら話題性が高い情報があったとしても検索結果の1位~10位が全てその情報で占められるということはありません。
2013年7月28日にソウルで行われたサッカー東アジアカップ日本対韓国戦で観客席に「歴史を忘れた民族に未来はない」との横断幕が掲げられた問題が起きました。この問題を受け、各報道メディアが翌29日に報道記事を一斉にパブリッシュしました。その結果、私のGRC上ではありますが、30日のログに大きな変動がありました。
上図のように変動幅が大きい値を示しています。
実際にGRCの変動グラフを見てみると30日の記録時に多数のページがランクインしているのが分かります。
それでは実際に検索結果に変化が見られた前後でどのようなプレイヤーになっているか比較検証してみましょう。
7月29日時点
7月30日時点
黄色の背景色が今回の事件を取り上げたページとなります。QDFが発動したことによりQDDのプレイヤーが変化しているのが見て取れます。7月29日時点で10位だったサイトは変動後20ランクほど順位を落とす結果になっています。つまり、約20サイトほど今回の事件を取り上げたサイトが3ページ目までに表示されたということですね。
※GRCは1日1回の起動となっていますので、7月30日に変動が見られていますが、実際はGoogleのQDF発動は迅速に行われ、29日中には変動が見られていると思います。
このようにQDFというGoogleがタイムリーな情報を検索結果に表示される技術を見る良い事例だったと思います。ここで注目しておきたいのは、今回SERPSで上位表示されたプレイヤーのホストポジションです。
1ページ目に表示されたサイトは、読売新聞、NHK、msnといったニュースメディア、2ページ目以降も軒並みメディアサイトが表示されています。日頃、横断幕をインターネットで販売しているサイトが、急きょ「サッカーでの横断幕問題」というフロー系のコンテンツを公開したところでSERPSで取り上げられる可能性は低いでしょう。ホストの認識タイプとパブリッシュする情報の特性という観点も重要な要素となりえます。
GoogleがNews(publishers)として認識するには、このページに記載されている要件を満たす必要があり、一般の事業会社がフロー系コンテンツを取り扱う場合は、企画構成段階で競合プレイヤーとの差別化要素をどこに置くのかを事前に吟味しておくのがよさそうです。
ねずみ小僧は「横断幕」のQDFがいつ解けるか楽しみに検索結果動向をウォッチしていきたいと思います。
ニュース発生後10日経過時点のSERPSの状況について記事を書きました。下記リンク先からご覧ください。
→GoogleのQDFが発動して10日経過!「横断幕」クエリワードのその後の動きについて